ローマ帝国の発展などと共にインド方面との交易によりヨーロッパに伝播されたとされるスパイスは、ヨーロッパの食生活には欠かせないものとなりました。それによってスパイス交易(香辛料貿易)が盛んになりました。
中でも、胡椒、ナツメグ、カルダモン、グローブといった、ヨーロッパでは自生しなかったスパイスは、インドや東南アジアなどから輸入するしかない大変貴重なものとされました。スパイスが金と交換されたとも言われたりします。あの「大航海時代」には、特に胡椒を中心としたスパイス交易が栄えるようになります。
中世に入ると、ローマ帝国の滅亡やイスラム勢力の勃興といった様々な要因によって東西交流が難しくなり、スパイスの価値は更に高まったとされています。更に保存技術の向上により肉食文化が発展した事から、上流社会において防腐効果に優れた胡椒やクローブの需要が特に増えるようになったとされています。
その価値の上昇と共にスパイスを独占しようとする動きに発展しました。スパイス交易がエスカレートした結果、軍事行動にも繋がり、それは「スパイス戦争」とも呼ばれたりもしました。
そのような旺盛なスパイスの消費でしたが、食品の保存技術として画期的な冷蔵技術が確立されるようになると、消費に陰りが見え始め、それに伴いスパイス交易は衰えるようになりました。