【スパイス世界史】ローマの黒色の金

【スパイス世界史】ローマの黒色の金

西暦1世紀頃のローマでは、当然ながら冷凍技術が無かった時代ですが、当時の防腐剤や薬として、スパイスである黒胡椒(ブラックペッパー)が大変貴重とされていたそうです。

地質や気候の関係で、ヨーロッパ諸国では胡椒の栽培が難しかった事もあり、当時はその希少性から「黒色の金」と呼ばれ、通貨としても使われる事があったそうです。

それを象徴するエピソードして、古代ローマの博物学者プリニウスが、「裕福なローマ人達が輸入した胡椒の消費の為に、年間5万セステルティウス*費消する」という言葉を残しています。これは、当時のローマにおいて、主食であった小麦1か月分がおよそ15セステルティウスだったとか、ひとかたまりのパンが約0.5セステルティウスだったとか記録があることから、いかにローマ人が胡椒を高価なものとして貴重に扱っていたかが窺えます。

*セステルティウス:古代ローマにおける会計単位であり、1セステルティウスはワイン1リットル分に相当したとも言われる。

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