スパイスの香りは、揮発性の精油成分が元となっており、化学的に言えば、その精油が蓄えられているスパイスの組織を壊す事で風味を発します。スパイス香りを際立たせるための様々な方法がありますので、料理に合わせて選んでください。
【その①】挽く
「ミル」を使うのが一般的でイメージしやすいです。挽きの度合いによって、粗いものがいわゆる「アラビキ」で、細かく粉状にしたものが「パウダー」です。
粉状にする事で均一に香り・風味を行き渡らせる事ができるので、例えばカレーなどの煮込み料理に適しています。時間が経つに連れて香りが弱くなっていくので、使用する直前に挽くのがおすすめです。
【その②】潰す・ちぎる
粒状のスパイスなら指や瓶の底、包丁の腹などで潰して、葉状のハーブならちぎる事で組織を壊して香り・風味を際立たせる方法です。
ブラックペッパーやガーリックなどは、粗く潰せばよりフレッシュさを感じられます。クミンなどのもともと形状が小さく細かいものならば、指でも簡単に潰す事が可能です。
【その③】加熱
スパイスは加熱する(火にかける)事でも精油成分が揮発して香りが立ちます。ホールスパイスと油を一緒に炒めて香りを移す「テンパリング」と呼ばれる手法は、炒め物や煮込み料理に最適。
カレーもテンパリングして作るとよりスパイシーなカレーとなり、煮込むだけよりも一味変わって来ます。特にクミン、カルダモン、フェンネルなどとの相性が良いです。
【その④】揉み込む
粉状のパウダーにしたスパイスは、肉や魚に揉み込む事で臭み消し(マスキング)や殺菌効果が期待できます。焼き物などによく使われ、手軽にできるとあって一般的にも広く知られている手法です。
アメリカの本場のBBQでは、「ラブ(Rub)スパイス」という、スパイスを塊肉に揉み込む文化があります。
※素材にスパイスを揉み込んだ後は少し時間を置いて馴染ませるのがコツ。