テンパリングには、クミン、カルダモン、シナモンといったスタータースパイスの形状がある状態「ホールスパイス」を用いるのが一般的です。
調理の途中や仕上げに粉状の「パウダースパイス」をふりかけるのとはまた違った独特の香りをまとわせる事ができる為、スパイス料理においてはポイントとなる工程と言えるでしょう。
ここではテンパリングの際に気を付ける点やコツをご紹介します。
【その①】温度・火加減
テンパリングで最も大事なのは「焦がさない事」。焦げは強烈な苦味を生み出してしまうので、せっかくのスパイスの持ち味である、香りと風味が台無しになってしまいます。その為、油が温まる前からホールスパイスを入れると良いでしょう。
そして、スパイスに火が通ったかどうかの確認できるポイントは、見た目でスパイスがシュワシュワと泡立ってきたタイミング。香りを確かめて、焦げ臭くなくスパイシーさが感じられたら良いでしょう。目安時間はおよそ数分(3分程度)といったところでしょうか。
【その②】スパイスを入れる順番
複数のスパイスを組み合わせてテンパリングする場合は、油が温まる前からスパイスを入れていく訳ですが、火にかける順番に気を付けましょう。
スパイスの種類によって大きさや硬さが異なるので、一度に全部入れてしまうと、スパイス毎に火の入り具合がバラバラになってしまい、一部が焦げてしまうということもありえます。その為、大きいもの・硬いものから順に入れていくのがコツと言えるでしょう。また、マスタードや唐辛子は、油が温まってから入れるのが良いでしょう。
【その③】テンパリングして使うタイミング
A. 調理の前にテンパリングしたスパイスを使う(スタータースパイス)
スパイスの風味を料理全体に浸透させたい時は、前にも述べた通り調理の最初にテンパリングしましょう。
油にスパイスの香りを移して料理のベースに使う事で、香りと風味を一体化する事ができます。
スタータースパイスとしておすすめのスパイスは、形状のある状態のホールスパイスを使うと良いとされています。
*おすすめスパイス
クミン、コリアンダー、シナモン、カルダモン、マスタードなど
B. 調理の後にテンパリングしたスパイスを使う(調味液)
スパイスの新鮮な香りをより引き立たせたい時は、食材を調理するのとは別のフライパンや鍋でスパイスをテンパリングしておき、食材の調理の仕上げとしてテンパリングして油に漬け込んだスパイスを調味液として入れるという方法もおすすめです。
加熱する事によって弱まってしまうスパイスの風味を補う効果があるとされており、インド料理や中華料理でも広く用いられている方法になります。
またイタリアンで、オリーブオイルにテンパリングした唐辛子・ローズマリーなどを漬け込んで、ピザやパスタなどにも使う事もできますよ。
*おすすめスパイス
クミン、コリアンダー、シナモン、カルダモン、マスタード、唐辛子、ローズマリーなど
【番外編】「パウダースパイス」ではテンパリングできないのか?
テンパリングは基本的にはホールスパイスを使いますが、パウダースパイスを使う場合にはホールスパイスよりも焦げやすくなることを念頭に、炒めるというよりさっと油通しして粉っぽさを飛ばすくらいの感覚で良いでしょう。